人を味方につけ、味方を増やす方法(注意点、逆効果の例など)
ある問題に対して、1人では太刀打ちできない場合、
味方や協力者を増やすことが解決につながることは多いです。
例えば、販売中のある商品に対し、
1人からの苦情だけでは会社は動きません。
しかし、苦情が1万件以上になれば生産中止を余儀なくされる、
というように、数が物を言うことは多いです。
国会議員なんかも、失言に対して苦情が多くなるほど、
問題が大きくなり、謝罪だけではおさまらず辞任することになります。
(そもそも選挙自体が投票数という数の勝負ですが)
また、身近な問題としても、
「自分の子が学校で嫌がらせをされているようだが、
自分1人で学校に苦情を言っても対応してくれない・・・」
というケースや、
「職場であきらかに仕事をしないでサボっている人がいて、
ちゃんと仕事をしてほしいが、自分1人で上司に言っても動いてくれない」
などの場合も考えられます。
いずれの場合でも、味方をしてくれる人が多いほど、問題が大きくなり、
相手方が対応せざるを得ない状況に持ち込めるようになります。
このように、何かの問題に対して1人では効果をなさないが、
多数の味方をつけることによって、問題解決の糸口となることは多いです。
では、人を味方にして多数の協力者を得たい場合、どうすれば良いのでしょうか。
また、味方にした人に動いてもらうためにはどうしたら良いのでしょうか。
このページでは、まず
「味方についてもらうための方法」
についてお伝えします。
相手に好かれる
知らない人と仲の良い友達が対立している場合、
あなたならどちらの味方をするでしょうか?
状況にもよりますが、友達の味方をする人が圧倒的に多いと思います。
仲の良い人や好きな人の味方をするのは人間の心理として当然です。
わざわざ知らない人の味方をする理由はありません。
人間は自分が思っているよりも感情的な生き物ですので、
何事に対しても公平に判断するというのは相当難しいです。
会社で人事評価がされる時、
本当に公平な評価がされているでしょうか。
もしくは政治家が政策を推進する時、
私情を挟まず公的な観点で行っているでしょうか。
こんな風に具体的な場面を考えていただければ、
簡単におわかりいただけるかと思います。
「自分は公平にやっている」と断言する人ほど、
好き嫌いで不公平な判断をする傾向が強いのですが、
人は多かれ少なかれ、不公平な判断をするものです。
もちろん、真摯に人事評価をする人や、
国民のために政策を進める政治家もいます。
しかし、その上に自分への利害関係が絡んでくると、
ほぼ100%、公平な判断はできません。
つまり、人の好き嫌いで物事を判断する人が多い中、
ごく稀に好き嫌いに捉われず判断する人がいたとしても、利害関係が絡んでくると、
人は自分のことを第一に考えて物事を決める
ということです。
人間は利己的であるという前提に立つ
利己的でない人間は相当の変わり者であり、
特異な存在であると言わざるを得ません。
ここで注意しなければいけないのは、
「利己的であることが良いとか悪いということではなく、
人間は利己的な生き物であるという事実を受け入れない限り、
相手をうまく味方につけられない」
ということです。
「あの人は良い人だから、きっと私の味方をしてくれるに違いない」
「自分のことを差し置いて、他人である私を助けてくれるかもしれない」
という、あり得ない妄想を抱いていると、いつも落胆と怒りに包まれてしまいます。
そして、その度に裏切られ、失望するでしょう。
一方、人間が利己的な生き物だという前提で考えると、
的外れな期待を抱くことなく、相手のニーズと自分の目的を近づけ、
うまくいけば重ねることができます。
ここで1つ注意点があります。
人は好きな人の味方をすることが多いですが、
明らかに間違っていることや、自分が損する場合は味方をしません。
そうなってしまうと、
自分の主張をすればするほど、相手は離れていきます。
この原則もしっかりと覚えておきましょう。
ちなみに、
「自分は他人のことを思いやっているから利己的でない」
と思っている人は、相手にもそれを求める傾向が強くなります。
つまり、自分がこれだけ相手を思いやって行動しているのだから、
相手も自分を思いやって、それなりのお返しをしてほしいということですね。
残念ながら、これも利己的な考えです。
一見、他人を思いやる立派な考えに思えますが、結局は
「見返りが欲しいから、相手を思いやる」
という構図になるからです。
言い換えると、
「見返りがなければ相手のことを思いやらない」
という考え方なので、利己的であると言えます。
自分のことを善人だと思っているので、その分タチが悪いかもしれませんね。
ここで言う見返りとは、
「相手からの物をもらう」
「何かをしてもらう」
「好きになってもらう」
などのことを言います。
利己的でない人は見返りを求めませんので、
良い悪いではなく、事実として受け入れるのが賢いです。
相手に良い気持ちになってもらう
相手を褒める
相手の良いところを見つけて褒めることで、
自分のことを良い人物であると印象づけることができます。
普通、不快なことを言う人とは一緒にいたくありませんが、
良い気持ちにさせてくれる人とは一緒にいたいと思うのが人間です。
この点を使って、自分が良い人間であることをさりげなくアピールし、
自分の味方に引き寄せましょう。
ここで注意点を1つ。
褒める時は、わざとらしくなってはいけません。
明らかにお世辞を言っているような場合、相手は不快になることが多いです。
そうなってしまうと逆効果ですので、
あくまでも自然に、素直に良いと思ったところを褒めるのがコツだと言えます。
他人の短所を見れば憂うつになり、
他人の長所を見れば人生が明るくなる (D・カーネギー)
相手に関心を持つ
相手に好かれ、味方につけようと思ったら、
まずは自分が相手のことを好きになるのが効果的です。
相手に心からの興味があることをアピールすれば、
たいていの場合、相手も注意を向けてくれますし、理解をしてくれます。
相手を味方につけたい場合、自分から相手に働きかける必要がありますが、
その第一歩となるのが、相手へ関心を持つことです。
ほとんどの人間関係において使える原則なのですが、
「人は何かをしてもらったら、同じことを相手にする」
ということが言えます。
これは、あくまでも基本的にということなので、
人によって程度の差はあります。
なので、良いことをしてあげたのに、お返しがない人や、
丁寧に接してあげているのに、失礼な態度で答えてくるという人もいます。
しかし、それは
「良いことをしてあげたと思っていても、相手にとっては実は迷惑だった」
「失礼な態度に見えても相手の表現がうまくないだけ」
ということもあります。
もちろん、この原則があてはまらない人も多少はいますが、
基本的にはほとんどの人があてはまり、
良いことをしてあげたら、相手も良いことをしてくれますので、
原則として押さえておいてください。
他人のことに関心を持たない人は、苦難の人生を歩まねばならず、
他人に対しても大きな迷惑をかける。
人間のあらゆる失敗はそういう人たちの間から生まれる。(アドラー)
我々は、自分に関心を寄せてくれる人に関心を寄せる。(詩人パブリアス・シアス)
相手の名前をいち早く覚え、間違えない
名前で呼ぶと相手の好感度はグッと上がります。
「自分が1人の人間であると認められている」
「自分に興味がある」
と感じるからです。
名前で呼ばれた人は、
「自分はその他大勢の人ではない」と直感的に感じ、
自分を認めてもらえたような気になります。
これは会って間もない人ほど効果が高いので、
いち早く相手の名前を覚えて呼ぶようにしましょう。
相手の話を真剣に聞く
相手の話を聞くということは、
相手の考え方・立ち場・状況・習慣・趣味嗜好などを知れるチャンスです。
つまり、話を聞いてわかった情報を駆使すると、
相手を味方につけやすくできるということです。
例えば、趣味が釣りの人だったら、
「私も釣り好きで、週末には?に行くんですよ。
オススメのスポットなどありますか?」
などと言うと、仲良くなれるチャンスとなります。
相手が学歴志向だった場合、
「なんだかんだ言っても、まだ学歴がものを言いますよね。
公務員も勉強ができなければエリートの道が閉ざされますから」
などと言うと、相手が会話を楽しんでくれる可能性が高まります。
こんな風に、相手の趣味嗜好から好きな話題を探り出し、
うまく質問することで会話が盛り上がります。
そうすると仲良くなりやすいので、
その人が味方になる確率が格段にアップするというわけです。
また、相手の話を真剣聞けば聞くほど、
相手も自分の話を聞いてくれるようになる
というメリットもあります。
かの有名なルーズベルト大統領はどんな人とでも楽しく会話をするので、
周りにいた人は知識の豊富さに驚いたそうです。
でもそれは、会う人がわかっている時には、
事前に好きそうな話題を調べておいたからです。
相手が興味のある話題について、質問をいくつか用意しておけば、
後は相手が楽しく話題を広げてくれるというやり方を駆使したんだそうです。
自分のことだけしか考えない人は教養が無い人である。
たとえどれほど教育を受けても、教養が身につかない人間である
(ニコラス・バトラー)
相手が嫌なことを言っても、関係を悪くしない(相手を批判しない)
もし相手が嫌なことを言ってきた場合、
まずは、それ以上関係を悪くしないように心がけましょう。
嫌なことを言ってくる人に対して、
相手の矛盾や間違いを指摘し、説き伏せても、
相手は味方になってくれません。
人間は感情的な生き物なので、正しいことを教えてあげても、
気分を害したが故に、敵になってしまうことが多々あります。
味方を増やそうとしている時に、
敵を増やしてしまってはいけません。
それなら何もしない方がマシというものです。
明らかに相手が間違った主張をしていても、
「うんうん」と聞き、大人の対応をしてあげましょう。
目的は味方を増やすことであり、
自分の正当性を主張することではありません。
(自分の正しいと言うことが相手を批判する状況になることは
決して少なくありません。)
こういう時は感情的にならず、クールにいきましょう。
俯瞰的に物事を見て、
自分がどう立ち回れば全体がうまく進むのか考えましょう。
目の前の相手に負けてあげることで、
全体的には自分が勝つということはよくあります。
自分が勝たなければいけない勝負はどこなのか、
それを見極める賢さと、感情を抑えられる理性を持った人が勝者となります。
ちなみに、もし相手が自分を批判するようなことを言ってきた時は、できれば
相手に悪意があるのか、単に天然の人なのか
を判別しましょう。
悪意なく嫌なことを言ってしまう人であれば、
味方にできる可能性は十分にあります。
しかし、悪意を持って嫌なことを言ってくる人は、
少なくともすぐに味方にすることはできません。
こういう場合は、
早々に会話を切り上げるのがベストな選択と言えます。
時が経てば味方にできることもありますが、
今は無理しても敵にしてしまうだけなので、やめておきましょう。
人の好意や反感は時が経つにつれて変わってきますので、
現時点で味方にできない人は、せめて敵にならないようにする必要があります。
敵になってしまうほど、味方につけるのは難しくなりますので。
人間はたとえ自分がどんなにまちがっていても
決して自分が悪いとは思いたがらないものだ。
人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。
相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、
自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねばならない。
われわれは他人からの賞賛を強く望んでいる。
そして、それと同じ強さで他人からの非難を恐れる。
(ハンス・セリエ)
笑顔で接する
しかめっ面の人と笑顔の人、どちらが話しかけやすいでしょうか。
これは明らかに笑ってる人の方が話しかけやすいと思います。
笑顔は、外見から敵意がないことを感じ取れる
最もわかりやすいものの1つです。
話しかける時だけでなく、会話の最中も笑顔を忘れないことで、
相手に好意があることをアピールできます。
笑顔で話しかけられた人は、たいがいの場合、笑顔で答えます。
好意のある話し方で接してくれる人には、好意を持って接してくれます。
ここでもやはり
「人は何かをしてもらったら、同じことを相手にする」
ということが言えますので、なるべく相手が心地よいと感じる雰囲気を作りましょう。
動作と感情は並行するもの。
感情は動作を調整することによって間接に調整することができる。
したがって快活さを失った場合、それを取り戻す最善の方法は、
いかにも快活そうに振る舞い、快活そうにしゃべることだ
(ウイリアム・ジェイムス)
バーナム効果で相手を理解していると思わせる
バーナム効果とは、
「誰にでもあてはまりそうな曖昧なことを言って、
相手が自分のことを、さも理解していると思ってしまう心理作用」
のことです。
占い師なんかがよく使う手ですね。
例えば、
「あなたは一見社交的に見えますが、
実は心の中では、遠慮がちな一面、用心深い一面がありますね。」
「あなたには、まだ自分では気づいていない才能が眠っています。」
なんて言ったりします。
これらは誰にでも当てはまることなのですが、改まってズバリと言われると、
「自分のことをわかっている素晴らしい人が現れた!」
と思ってしまいます。
自分自身のことなのですが、自分では気づいていなかったことを
周りの人に指摘されて初めて知ったということがあるかと思います。
その指摘が正しいと感じるほど、
「この人は自分のことをよく見てくれている」
「自分の気付かないところを知ってくれている」
と感じるものです。
これを初対面の人に上手くできると、
神秘的なパワーを持っているかのような印象を与えられます。
占い師はこういう手法で
相手のことを探り当てるきっかけを切り開くんですね。
(ちなみに藤崎は大学生の頃、占い好きだったので、
数々の人気占い師、実力派と評判の占い師に見てもらいました。
あれから10年近く経つので、
ある程度当たったのかどうか判断できるのですが、
当たったと言える占い師はいません。
なんとでもとれそうな曖昧な表現がほとんどだったので、
当たってるとも外れてるとも言えないものがほとんどでしたが。)
自分では気付かない「本当の自分」を見抜いてくれる人がいてくれたら、
「悩んでいる時に最良のアドバイスがもらえるのではないか」
「自分では気付かない才能を見つけてもらえるのではないか」
「もっと自分の人生が良くなるのではないか」
と期待してしまうものです。
占いに行く人は、このように思っていることが多いのですが、
自分を理解してくれる人を求めるのは、特別なことではありません。
実際に占い師に相談する人は、全体から見ると多くないと思いますが、
ほぼ全ての人が自分を理解してくれる人を求めています。
そして、自分のことをわかってくれる人をすごく信頼するので、
極端な例で言うと、洗脳され、人生を台無しにするケースまで出てきます。
自分を理解してくれる人が必要ない人は、
人とのつながりを持たないでしょうから、友達や恋人も作らず、
天涯孤独に暮らす仙人のような人になってしまうでしょう。
人とつながりを持ちたいということは、
自分を理解して欲しいという欲求の現れですから、
このバーナム効果を使って、
「私はあなたのことを理解しているんですよ」
とアピールすることは、仲良くなるために有効な方法であると言えます。
カリギュラ効果で相手の興味をそそる
カリギュラ効果とは、アメリカの映画が公開された際に、
過激すぎてカットされた部分が多いことが、逆に人々の関心を集め、
ヒットしたことから名付けられた心理効果のことです。
「隠されているものは見たくなってしまう」
という本能的とも言える人間の心理がヒットを生んだのですが、
これは対人関係にも応用ができます。
つまり、味方につけたい人、仲良くなりたい人と話す時は、
全てをおおっぴらに話すのではなく、
相手の気になりそうなところはわざと隠すようにするのです。
例えば、
「私はよく上司にスピーチが上手いと褒められるのですが、
特段練習したり意識したりすることもないので、不思議なんです。
それも聴衆の人数が増えるほど
良いスピーチをすると言われるんですよね、なぜか。」
と言えば、なぜ練習もしていない人がそんなにスピーチがうまいのかと
気になる人は多いと思います。
しかも聴衆が増えるほど、スピーチがうまくなるのですから。
特に、スピーチが下手な人、上がり症の人は、
どこに理由があるのかを知って、自分に活かしたいと思うでしょう。
しかし、本人が「なぜかわからない」と言っているので、
それ以上、原因を特定できないことになります。
「本人もなぜかわからない」ことが、特別な力があると相手に連想させ、
魅力的な人間であるかのように思わせるのです。
まとめ
では、人を味方につけるための方法についてまとめてみます。
1.相手に好かれる
2.人間は利己的であるという前提に立つ
3.相手に良い気持ちになってもらう
4.カリギュラ効果で相手の興味をそそる
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